導入事例

AIによる自動検知で経費チェックの精度とスピードを両立。“AI活用の第一歩”としてStena Expenseを導入

タカラスタンダード株式会社様

Stena Expenseの活用によって、重複申請や不適切な申請の検知精度が大幅に向上しました。
勘定科目別・社員別に金額や申請頻度を比較する『「異常モデル分析』」により、AIが不適切な経費利用や入力誤りの兆候を自動抽出します。これにより、確認作業の精度とスピードの両面で大幅な改善が実現しています。

ーーーー監査室 マネジャー 梶谷 宝稔(カジタニ タカトシ)様

キッチンやバスルームなどの住宅設備機器を製造・販売するタカラスタンダード株式会社(以下「タカラスタンダード」)では、経費申請件数が継続的に増加する中、経理部門のチェック業務負担の軽減と業務効率化を目的に、2024年10月に不正経費自動検知クラウド「Stena Expense」を導入しました。
今回は、Stena Expenseの導入背景や運用効果について、監査室マネジャー・梶谷様と財務企画部マネジャー・鈴木様にお話を伺いました。

タカラスタンダード株式会社 会社概要

■事業概要キッチン、浴室、洗面化粧台、その他の住宅設備機器の製造販売業、給食事業、訪問看護事業 
■社員数6,560名(2025年3月末現在)
■立替経費精算規模・明細数:月間約25,000件、年間約300,000件
・金額:月間約9,000万円、年間約11億円
・主な内容:交通費、駐車場代、出張費、交際接待費、事務用品購入など
・経費承認フロー:精算者→上長の1段階承認

スピード化の代償。経理部門に集中した事後チェックの負荷と統制の限界

ーStena Expense導入前の課題について教えてください。

タカラスタンダードでは、2021年に経費精算クラウドシステムを導入し、モバイル端末や法人カードを通じて、時間や場所を問わず経費申請ができる環境を整備しました。この時に、承認フローを多段階承認から申請者の上長による1段階承認へと見直しました。
その結果、承認前のチェック工数を大幅に削減できた一方で、承認後の事後チェックが経理部門に集中する構造となり、新たな業務負担が課題として顕在化しました。同時に、不正のトライアングル(動機・正当化・機会)のうち「機会」に対する統制が弱まり、不適切な経費申請が発生するリスクも高まっていました。
こうした構造的な課題に加え、コロナ禍の収束に伴う営業活動の増加により、経費申請件数も年々増加。経理部門のチェック業務は膨大になり、人的対応だけでは限界が見え始めていました。さらに、毎月作成している承認状況や重複申請の分析レポートも、件数の増加とともに負担が増大。目視確認だけで精度を維持することが困難な状況になっていました。
こうした背景から、経費精算におけるチェック精度の維持と業務負担の軽減を目的に、Stena Expenseの導入を決定しました。

AI活用の第一歩。現場の負担を抑えたスモールスタート

ーStena Expenseを選定した理由を教えてください。

最大のポイントは、導入のハードルが低かったことです。既存の経費精算システムからCSVデータを取り込むだけで利用でき、システム改修や複雑な設定が一切不要なため、現場への負担を最小限に抑えながらスムーズに運用を開始できると判断しました。
また、サブスクリプション型で1ヶ月単位から利用できる柔軟な契約形態も魅力でした。まずは小規模な試験導入から効果検証を進められるため、社内で「初めてのAI活用」を進める第一歩としても非常に適していました。

機能面で重視したのは、これまで人手で行っていた重複申請チェックの自動化に加え、勘定科目別・社員別・金額別の異常値を比較・分析するといった、統計的なアプローチによる検知を行えることです。
Stena Expenseはこれらの要件を満たしており、従来のように1件ずつ目視で確認する方法では得られなかった「データ全体を俯瞰して不正や異常の兆候を把握すること」が可能になる点を高く評価しました。

AIによる異常検知で経費リスクを可視化。重複申請チェックの精度とスピードが向上

ーStena Expense導入後の成果について教えてください。

導入後は、重複申請や不適切な申請に対する検知精度が、AIによって大幅に向上しました。
とくに、交通費の往復・片道申請における重複など、これまで目視では見落とされやすかったケースをAIが自動抽出できるようになり、確認作業の精度とスピードの両面で改善が見られています。

さらに、勘定科目別・社員別に金額や申請頻度を比較できる「異常モデル分析」によって、不適切な経費利用や入力誤りの兆候をより早期に把握できるようになりました。
AIの検知結果をもとに、領収書の添付漏れなどの運用上の課題も可視化され、社内システムの改修や運用ルールの見直しへとつながっています。
現在では、約4,000名が経費精算システムを利用しており、AIによる検知結果を活用しながら、不備の発生を抑止する仕組みづくりを進めています。
監査部門でも内部監査にStena Expenseを活用しており、「AIがここまで検知できる」という認識が社内に浸透することで、従業員一人ひとりの意識向上や内部統制の強化にも寄与しています。

AI活用で全社レベルの統制強化へ。分析の自動化と現場展開でガバナンスを高める

ー今後の展望について教えてください。

今後は、分析レポートのチェック業務の自動化を進め、現在1回あたり約3時間を要している作業の効率化を図っていく予定です。AIで自動化することにより、単に時間を削減するだけでなく、これまで手が回りきらなかった、より深い分析業務や改善施策の検討にリソースを充てられるようになることを期待しています。

また、AIの検知結果を本社だけでなく事業所単位でも共有し、現場レベルでの統制意識の向上を推進していきます。他社事例や外部の知見も取り入れながら、自社のデータ特性に即した分析手法を発展させ、AIを通じた「透明性とガバナンスの両立」を全社的に実現していく方針です。

−本日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございました。
Stena Expenseを活用し、経費精算の透明性とチェック精度を高めたタカラスタンダード株式会社様の事例をご紹介しました。

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